皆様のご支援のおかげで、第一目標の150万円を達成することができました。心から感謝いたします。シカヤの32m電波望遠鏡は確実に完成に近づいてきています。多くの方々からの理解と暖かい応援のお陰だと思っています。クラウドファンディングで、現在までに77名の支援者に励まされ、力をいただけたことに感謝しています。
ワンカイヨ観測所のスタッフに、「今まで皆が頑張ったことが支援者に伝わったのだ」、と第一目標の達成を報告したところ、皆本当に喜びながらも、「もっと頑張らなくちゃ!」と嬉しいことを言ってくれています。
現在、電波望遠鏡の追尾システムの電子回路系の完成に向けて、私とスタッフの電子工学技師(スサン)と工専の学生(ジョシュア)三人で作業を進めています。かならず完成させます。
第二の目標の500万円はハードルが高いと認識しておりますが、電波望遠鏡を完成させて観測を継続的に行う為には必要な資金です。引き続きご支援のほどよろしくお願い致します。
太陽のような恒星がどのようにつくられるかご存知でしょうか? 恒星の赤ちゃん(原始星)が「星形成領域」とよばれる場所で誕生する際、その周囲にはガスとちりからなる「降着円盤」がつくられます。この円盤は惑星が誕生するための材料となります。この濃いガスとちりの環境の中でメタノールの分子雲が、「メタノール・メーザー」とよばれる強い電波を出します。そのため、原始星からのエネルギーを受けて発せられたメタノール・メーザーを電波望遠鏡でとらえ、その性質を調べることで、星形成領域の物理状態を解明する研究を進められるのです。
現在、南アメリカでメタノール・メーザーの観測をしているところはありません。南半球からの観測は拠点が少ないだけに貴重であり、それができれば世界の電波天文学に貢献することができます。これは世界中の電波天文学者の望みでもあります。
私の現在の研究拠点であるペルーでは、科学技術に対する予算が少なく、新たな望遠鏡をつくることはほぼ不可能です。しかし現在、私は、もはや使われなくなったパラボラアンテナを再利用することで、電波望遠鏡として復活させようという研究に取り組んでいます。
1990年代、ある電話会社がペルーのシカヤという地域に直径32mの衛星通信用パラボラアンテナを設置しました。しかし、2000年頃には衛星通信の時代は終わり、光ファイバーの時代となったため、このアンテナは使われなくなりました。2002年、我々はこの電話会社に、もはや無用となった衛星通信アンテナ局の寄贈を打診し、2008年にそれは実現しました。
2011年、このパラボラアンテナを改造し、初めて星形成領域からのメタノール・メーザーの受信に成功しました。衛星からの電波を受ける通信アンテナは、宇宙からの電波を受ける電波望遠鏡へと生まれ変わったのです。この時はまだ、モーター駆動を使った追尾ができなかったため、待ち受け観測での成功でした。しかし、それから5年後の2016年3月25日には、電波望遠鏡を4つのモーターで駆動することができるようになりました。
現在、衛星通信用アンテナから電波望遠鏡への改造は最終段階にあります。もともと、静止衛星からの電波を受けていたため、衛星通信用アンテナには全天のトラッキングをする機能は必要ありませんでした。しかし、電波望遠鏡の場合は全天を観測し、天体を追尾する必要があるので、現在のアンテナ・コントロール・ユニット(ACU)のみでは観測は不可能です。観測を可能にするためには、コンピューターから星の位置(角度)をACUに渡すインターフェースが必要となります。インターフェースの設計と作成までは、現地の観測所の電子技術者で進めることができましたが、アンテナシステムの電子回路などの知識が無いため、インターフェースの設置までは力が及びません。
この問題を解決するために、アンテナの製作を行った日本電気株式会社(NEC)の技術者から現地の技術者への技術移転を望んでいます。ペルーで唯一の電波望遠鏡を完成させるために、アンテナシステムを熟知した技術者を日本から招き、現地の観測所の技術者と共に制御用のインターフェースを完成させたいのです。シカヤのようなアンテナは世界に沢山ありますが、ほとんどのものはペルーと同じくもう使われていません。そのため、アンテナのメンテナンスができる企業はすでに存在せず、メンテナンスのやり方を知っている技術者も少なくなってきています。そこで、アンテナの制御システムを仕上げると同時に、アンテナのメンテナンスについても、日本からの技術移転が早期に望まれるのです。
現在、アンテナを設置したNECの技術者と連絡を取っている段階です。この方に数週間ペルーに来ていただき、協力いただくことでアンテナ制御システムを完成させ、さらに、アンテナのメンテナンスの仕方を現地ペルーの技術者に指導してもらうことを考えています。
ペルーの電波望遠鏡を立ち上げて、世界の天文学に貢献するためには資金が必要となります。そこで今回、クラウドファンディングに挑戦することにしました。第1目標(150万円)を達成した場合、アンテナの設置にかかわった技術者を日本から招き、電波望遠鏡をたちあげる資金に利用する予定です。
さらに、第2目標として500万円を設定いたします。現在、ペルー地球物理研究所の年間の予算は少なく、研究所から出る電気代では一日に2時間しかアンテナを動かすことができません。これ以上の運営費の割り当ても、現状では期待できない状態です。しかし十分な研究を行うためには、一日中、電波望遠鏡を稼働する必要があります。
第2目標を達成した場合、この資金を電気代などの稼働費として用いることで、電波望遠鏡を継続的に稼働することができるようになります。そして、この継続的な観測によって星形成の謎に迫ることで、論文化を目指します。アンテナの制御システムが完成すれば、星形成領域のメタノール・メーザーの観測を開始することができます。最初の目標は、各星のメタノール・メーザーの強度の変化をモニターして、新しいメーザー源を探すことです。そこで得られたデータを元に論文を執筆し、同時にペルーの将来を担う若い電波天文学者の指導も行いたいと考えています。
ペルーで電波望遠鏡が継続的に稼働することの意義は、まず、ペルーに電波天文学が生まれるということにあります。さらに、ペルーでも世界レベルの宇宙物理学の研究が可能になると、ペルー人天文学者をペルーで育てることができるようになります。それだけではなく、電波望遠鏡に付随するさまざまな技術の発展にもつながります。
日本では、野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡ができたことがきっかけとなり、他の天文学の専門分野も発展してきました。さらに日本は、ハワイのすばる望遠鏡、チリのアルマ計画を経て、世界で最も優れた天文学の研究を行う国のひとつになりました。現在、改良を進めているペルー・シカヤの電波望遠鏡も、このような発展の端緒となると信じています。
時期 | 計画 |
---|---|
2016年11月 | クラウドファンディング挑戦 |
2017年06月 | 電波望遠鏡の制御システムの完成、メンテナンスの指導 |
2017年09月 | 学会発表 |
2018年06月 |
論文執筆
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ペルー・シカヤで撮影した美しい南米の写真を絵手紙としてお送りします。また、あわせて研究成果の一部をお伝えします!
ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
29人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ペルーで改造を進める電波望遠鏡をモチーフとしたオリジナルTシャツをお送りいたします。S、 M、 L、 LLよりサイズをお選びください。(※画像はイメージです)
Tシャツ / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
41人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
アカデミスト限定で配信する「ペルー研究日誌(3回分)」をお送りいたします。研究過程で解明したことや、研究での苦労などについてリアルタイムでお届けいたします。
電波望遠鏡研究日誌 / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
30人のサポーターが支援しています (限定 50 個)
国立天文台の研究者が主催するサイエンスカフェにご参加いただけます。2017年の4月〜6月の土曜日午後に東京都内で2回開催し、プロジェクトの現状について、詳しくお話する予定です!お好きな日程にお越しください。ご都合により当日参加できない方々には、当日の講演資料をメールでお送りします。
サイエンスカフェ参加チケット / 電波望遠鏡研究日誌 / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
4人のサポーターが支援しています (限定 30 個)
国立天文台(三鷹)見学ツアーを2017年の4月〜6月の土曜日午後に2回実施します。少人数での開催になりますので、ぜひ研究者に素朴な疑問をどんどんぶつけてください!(当日は日本人研究者の方々がツアーを担当いたします。)なお、2回とも日程が合わない場合には、キャンセル扱いとなりますので、ご了承ください。
解説付き国立天文台見学ツアー / サイエンスカフェ参加チケット / 電波望遠鏡研究日誌 / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
4人のサポーターが支援しています (限定 20 個)
支援していただいた方の氏名を、クラウドファンディングの特別サポーターとしてペルー天文台に掲載いたします。
ペルーの天文台に名前を刻む / 電波望遠鏡研究日誌 / サイエンスカフェ参加チケット / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
7人のサポーターが支援しています (限定 15 個)
論文の謝辞に皆さんのお名前を記載いたします。2017年から1年間データを集め、2018年度中の出版を目指していきます!
論文謝辞にお名前掲載 / ペルーの天文台に名前刻む / 電波望遠鏡研究日誌 / サイエンスカフェ参加チケット / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
1人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
イシツカ博士が研究を行うペルー天文台をご案内いたします。皆さまの氏名が刻まれたペルー天文台で、ご自身が支援した電波望遠鏡を眺めることができる絶好の機会です。奮ってご応募ください!ただし、天文台までの渡航費は含まれておりませんので、ご了承ください。
イシツカ博士による、ペルー天文台ツアー / 論文謝辞にお名前掲載 / ペルーの天文台に名前刻む / 電波望遠鏡研究日誌 / 解説付き国立天文台見学ツアー / サイエンスカフェ参加チケット / ペルーからの報告絵手紙(オリジナル画像) / お礼の報告メール(研究経過報告レポート)
2人のサポーターが支援しています (限定 3 個)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
絵手紙
29
人
が支援しています。
(数量制限なし)
Tシャツ 他
41
人
が支援しています。
(数量制限なし)
電波望遠鏡研究日誌 他
30
人
が支援しています。
(限定 50 個)
サイエンスカフェ参加チケット 他
4
人
が支援しています。
(限定 30 個)
国立天文台見学ツアー 他
4
人
が支援しています。
(限定 20 個)
ペルーの天文台に名前を刻む 他
7
人
が支援しています。
(限定 15 個)
論文謝辞にお名前掲載 他
1
人
が支援しています。
(限定 5 個)
イシツカ博士案内による、ペルー天文台ツアー(渡航費別) 他
2
人
が支援しています。
(限定 3 個)