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「愛」は普遍なのか? ヒッタイトの楔形文字から探る!

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SUCCESS
山本孟
京都大学、非常勤講師
支援総額: 553,480 円
目標金額: 500,000 円
達成率
110 %
サポーター
68
残り時間
終了
募集期間は終了しました

目標金額を達成しました!

皆さまのあたたかいご支援のおかげで、本プロジェクト「『愛』は普遍なのか?ヒッタイトの楔形文字から探る!」は、目標金額の500,000円を達成することができました!ご支援いただいた皆さま、プロジェクトの宣伝にご協力いただいた方々には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。今回の挑戦を通じて、多くの方々に応援していただき、大変励まされたのと同時に、身の引き締まる思いがいたしました。微力ではありますが、これから始める研究を通じて、古代の歴史を研究する面白さを伝えて行けるようにがんばります!進捗状況は随時こちらでご報告いたします。

まだチャレンジ期間は続いておりますので、引き続きご支援いただければ幸いです。余剰分は、今後の海外での調査や学会への参加費にあてさせていただきたいと考えております。楔形文字講座のチケットなどは、まだ余裕がございます。ぜひご検討ください!

academist スタッフからの一言
楔形文字からヒッタイト人の「愛」に迫る

柴藤亮介

大学生のときにトルコ旅行で出会った一枚の粘土板。山本さんは、粘土板に刻まれた楔形文字に興味を持ち、ヒッタイト王国の外交や条約に関する研究を進めてきました。これからは、ヒッタイト人の「愛」に注目した研究を進めていきたいと山本さんは語ります。果たして古代アナトリアの「愛」の意味を見い出すことはできるのでしょうか。

楔形文字を読めるようになりたい!

古代メソポタミア文明やエジプト文明の時代、古代アナトリア(現在のトルコ共和国)にはヒッタイトという王国が栄えていました。ヒッタイトと聞いて、篠原千絵さんの漫画『天は赤い河のほとり』を思い出される方もおられるかもしれません。

私がヒッタイトに興味を思ったきっかけは、学部生のときに行ったトルコ旅行でした。博物館で楔形文字の書かれた粘土板を生で見て「自分も読めるようになりたい!」と、純粋な好奇心から勉強を始めました。その後大学院に進学しましたが、当時の私は、多くの友人が就職してしまったことや大きな(と思っていた)失恋をしたことで、喪失感でいっぱいな日々を過ごしていました。そんなとき「大昔のヒッタイト人たちは自分がこんなにも苦しんでいる人間関係をどう考えていたんだろうか?!」と思うようになり、ヒッタイト王と他国の王の人間関係、つまり国家の関係をテーマに研究を始めたのです。

紀元前15世紀~12世紀にかけての古代オリエント世界は「国際化の時代」を迎えていました。多くの属国を従える帝国となったヒッタイトは、メソポタミアの国々やエジプトといった他の列強国と積極的に「外交」活動を行ったことが知られています。ヒッタイトの首都ハットゥシャの遺跡からは多くの楔形文字が刻まれた粘土板の断片が出土していますが、中でもこれまでに数百点もの諸外国との条約や書簡といった外交文書が確認されています。

楔形文字から予測するヒッタイトの政治外交史

私は、これらの粘土板文書の読解を通じて、ヒッタイトの政治外交史を研究してきました。その結果、外国の王と条約を締結すること、そして婚姻関係を結ぶ政策を巧みに組み合わせることで、できるだけ良好な関係を築こうとしたことがわかってきました。「条約」や「(王女と他国の支配者を)結婚させる」など、外交に関わる表現から、ヒッタイト王が諸外国の王とどのように関わろうとしたのかを理解しようと取り組んできました。ヒッタイトの王は、条約によって国家間の約束事を取り決め、王女との結婚を通じて親族の一員とすることを外交政策の中心に据えていたのです。また、ヒッタイト王は同様の政策によって国内の臣下との関係も築こうとしていたことが確認できます。このことから、契約と婚姻こそが国内外の政策に共通する一貫した政策理念であったことがわかりました。

*山本孟 「ヒッタイトの「条約」と「婚約」の概念:動詞išhiya-とhamenk-に関する一考察」,『オリエント』, 第57巻2号, pp.1-15, 2015年.
*山本孟 「ヒッタイト王家の家族観とその外交への適用」,『西南アジア研究』, 第82巻, pp.1-16, 2015年.

ヒッタイトの「愛」について調べたい

今回、ヒッタイトにおける男女の愛を研究し、ヒッタイト人たちの心に迫りたいと考えます。これまでは外交という王たちの「ハード」な人間関係を扱ってきましたが、原点に立ち返ってもっと「ソフト」な人間関係を考えてみたいと思っています。この研究では、通常「愛」と訳されるヒッタイト語(aššiyatar)という言葉に注目します。たとえば、この言葉が表れる粘土板には「女神は私たちに夫と妻の愛をもたらした」という文章があります。しかし、この言葉の意味は、私たちが考える恋愛や夫婦愛なのか、違うとすれば何が異なるのでしょうか。今回、4つの作業を通じてこの研究を実現させたいと考えています。

(1)「愛」という言葉が書かれた粘土板文書の読解
どの粘土板に「愛」という単語が現れるか特定し、それらすべてを読解します。前後の文脈を理解しながらヒッタイト語の「愛」がどんな動詞や形容詞と使われているかなどを調べ、それが私たちの「愛」とどう共通しどう異なるか、言葉そのものの意味を明らかにします。

(2)結婚や夫婦関係に関する粘土板文書の読解
結婚や夫婦関係が話題になっている法律文書や王の碑文、諸外国の支配者との書簡史料を読解し、①で調べた言葉の理解が正しいかどうかを確認します。

(3)粘土板文書の日本語翻訳とデータベース作成
先行研究を参考にして、読解したすべての粘土板を日本語に翻訳し、粘土板情報と併せてデータベースをつくります。

(4)ヒッタイトの愛について論文を出版します。
データベースを下にヒッタイトの人々にとって「愛」とは何かについて学術論文にまとめ、出版します。

研究費サポートのお願い

今回、皆さまからのご支援をいただくことで、「ヒッタイトにおける『愛』とはなにか」を研究したいと思います。

すでに研究対象する単語がどの粘土板に書かれているかはわかっているのですが、一つの粘土板を読むためには、その粘土板の写真と手書きのコピー、すでに翻訳されている場合ですと関係するあらゆる研究書・研究論文が必要です。また、対象となる粘土板は百数十点になる予定であり、現在私一人ではその膨大なデータを集めて処理しきれませんので、作業に協力してもらうために人件費が必要です。

そこで是非とも、皆さんのご支援を頂きたいと考え、今回のプロジェクトを立ち上げました。私たちと一緒に、ヒッタイト人の「愛」を理解していきませんか。

挑戦者の自己紹介

山本孟

はじめまして。山本孟と申します。現在、京都大学文学部で非常勤講師をしております。京都大学は日本で初めて楔形文字を扱う研究が始まった伝統のある大学です。そのような伝統の中、学部生のころから楔形文字を勉強してきました。中近東の研究というだけでも珍しいですし、そのとてつもなく古い歴史となるとなおさら馴染みのない学問だと思います。このような状況にあることから、もっと多くの方に古代オリエント世界に興味をもってもらいたいと思いがあります。大学で古代オリエントの歴史を学んだからといって、就職に活かせるわけでも、直接的に社会の役に立つわけではないかもしれません。しかし、古代オリエント研究は、現代の中東世界の宗教や歴史的風土を理解する上で、必要な重要な学問であるといえます。また、古代文明の研究は何よりロマンに満ちています。現代の日本に生きる私たちとどれだけ時代と地域が離れていたとしても、私たちと同じように人を愛し、苦しみ、喜びを感じ生きていた人々がいます。今回企画した研究を通じて、時空をはるかに超えた遠い世界の人々の気持ちに思いを馳せていただきたいと思います。

研究計画

時期 計画
2016年3月 クラウドファンディング挑戦
2016年5月 研究開始
2016年7月 学会発表@Society of Biblical Literature
2016年10月 学会発表@オリエント学会
2016年10月〜 論文執筆(〜2017年3月)

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : 研究報告レポート

研究をまとめたレポートをお送りします。「愛」という単語が使われている粘土板文書の日本語訳とその解釈を解説します。ヒッタイトの歴史と、これまで私が行ってきた研究の内容や研究方法もあわせてご紹介します。ヒッタイト人にとって「愛」とは何か?そして古代の歴史を考える面白さをお伝えしたいと思います!2016年末にお送りする予定です。

リターン内容

研究報告レポート

11人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

3,300 円 (税込)
注目のリターン : オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き)

実際に発掘されたものとそっくりな楔形文字粘土板をお送りします。ヒッタイト語のメッセージ1文とお名前を楔形文字で刻み、日本語訳と簡単な解説を添えてお届けします。いくつか異なるヒッタイト語メッセージを作る予定です。どんな内容になるかはお楽しみに!世界に一つしかないオリジナルな粘土板です!

リターン内容

オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き) / 研究報告レポート

20人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック

ヒッタイト王国の首都ハットゥシャの遺跡は、トルコ共和国チョルム県ボアズキョイにある世界文化遺産です。この遺跡の解説と見どころを中心に、イスタンブールなど主要都市からの行き方、現地の宿泊施設、周辺の観光地(有名なカッパドキアが近いです!)をご紹介するガイドブックをお届けします。書店やネットでは絶対に手に入らないガイドブックをぜひご覧ください!2016年末までにお送りする予定です。

リターン内容

ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック / 研究報告レポート

20人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : 楔形文字講座参加チケット

楔形文字の世界を紹介する講座にご招待します。楔形文字とその歴史についてご紹介した上で、粘土を使って楔形文字粘土板づくりを体験していただきます。詳細は未定ですが、2016年10月~11月の週末に京都で開催予定です。ふるってご参加ください!参加していただける方が多い場合、大阪でも開催したいと思います。 また、当日お越しになれない方もいらっしゃると思いますので、講座の概要をまとめた資料と動画もお送りいたします!

リターン内容

楔形文字講座参加チケット / ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック / オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き) / 研究報告レポート

10人のサポーターが支援しています (限定 10 個)

33,000 円 (税込)
注目のリターン : 論文謝辞にお名前掲載

今回の研究成果をまとめた論文にお名前を掲載させていただきます。また、論文の抜き刷りをお送りいたします。

リターン内容

論文謝辞にお名前掲載 / 楔形文字講座参加チケット / ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック / オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き) / 研究報告レポート

6人のサポーターが支援しています (限定 10 個)

55,000 円 (税込)
注目のリターン : ヒッタイト研究体験チケット

現役歴史学者の山本研究員と一緒に、研究を体験してみませんか?「愛」という言葉が出てくる楔形文字粘土板文書の翻訳を読んでいただき、「ヒッタイトの人々にとっての愛とは、どんな感情だったのか?」を考えていきます。歴史や文化、言葉など、ヒッタイトにまつわる、さまざまなテーマについてもお話をすることもできます。楔形文字講座と同日、秋の京都にて開催予定です。

リターン内容

ヒッタイト研究体験チケット / 論文謝辞にお名前掲載 / 楔形文字講座参加チケット / ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック / オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き) / 研究報告レポート

1人のサポーターが支援しています (限定 1 個)

このプロジェクトは、 2016年03月31日(木) 00時00分 から 2016年05月15日(日) 10時00分 までの間に目標金額500,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード(VISA, Mastercard)、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

研究報告レポート

11 人 が支援しています。
(数量制限なし)

3,300 円(税込)

オリジナル楔形文字粘土板(ヒッタイト語メッセージ付き)

20 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

ヒッタイト王国の首都ハットゥシャ遺跡のガイドブック

20 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

楔形文字講座参加チケット

10 人 が支援しています。
(限定 10 個)

33,000 円(税込)

論文謝辞にお名前掲載

6 人 が支援しています。
(限定 10 個)

55,000 円(税込)

ヒッタイト研究体験チケット

1 人 が支援しています。
(限定 1 個)

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